気滞とは?イライラさん体質の改善方法

気滞体質(イライラ)

気滞とは、こころとからだを動かす気が充満し停滞している状態です。ストレスが多く、イライラして落ち着かず、あちらこちらで痛みを感じます。さらに痛みなどの場所が変化しやすいことが特徴です。

この体質の方を一言でいうと、「イライラさん」です。

気滞体質の方は、自律神経のバランスが失調して、発汗や体温調整、血圧調整、排便コントロールが乱れ、呼吸器や消化器、循環器などの臓器に影響が出ることがあります。エネルギーとなる気が多く存在するので、症状は強く激しく感じることが多いのが特徴です。

参考→体質とは?|気滞体質の説明と改善方法

このページでは、気滞体質をさらに弱っている臓器によって細分化し、それらの改善方法についてもやさしく説明します。

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(目次)

肺気滞(はいきたい)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
2 胃気滞(いきたい)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
3 大腸気滞(だいちょうきたい)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
4 肝気滞(かんきたい)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
5 まとめ

肺気滞

肺気滞とは、胸部からのどに気の充満あるいは渋滞が生じて、呼吸機能が乱れている状態です。

主な症状・病気

肺気滞の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・胸苦しい
・胸がつかえる
・呼吸が速く浅い
・胸痛
・咳
・風邪を引きやすい

おすすめの改善方法

肺気滞の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

緊張と酸欠の悪循環

ストレスを受けると心だけでなく、身体も緊張して硬くなります。肩や背中、のどから胸元などの呼吸筋が強張り、胸郭が大きく開きづらくなり、呼吸は浅くなります。

その結果、体内への酸素供給量が減り、心身ともに苦しくなってくるのです。このような状態が持続すると、体内の酸欠を感知した延髄や自律神経の刺激が加わり、呼吸回数の調整が乱れて過呼吸を起こすことがあります。

この悪循環から抜け出しましょう。

腹式呼吸で深呼吸ができる身体に

腹式呼吸をすると、背筋が伸び、胸がはって、横隔膜が大きく動き、肺にたくさんの空気が入ります。

これを実践していけば、全身に酸素を多く含んだ良い血液がめぐり、筋肉の緊張や凝りが取れ、さらに自律神経の機能が向上し、全身の働きも良くなります。

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胃気滞

胃気滞とは、上腹部に気の充満あるいは渋滞が生じて、消化機能が乱れている状態です。

主な症状・病気

胃気滞の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・上腹部の膨満感や痛み
・食欲不振
・悪心
・嘔吐
・胃酸過多
・胸焼け
・呑酸
・しゃっくり

おすすめの改善方法

胃気滞の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

胃を緊張から解放する

気滞によって胃が緊張して、適時に蠕動運動が行なえない状態です。胃の捏ねる作用が適切に行なえれば、胃酸や消化酵素の分泌は、必要最低限の量で収まるのです。

胃酸分泌の過多は、強い塩酸によって胃の粘膜を溶かし、胃炎や潰瘍を起こします。胃腸のある腹部は、肋骨など骨に覆われていないので、空間的に拡がりを確保できて、さらに外部から触ることで刺激を送ることもできます。

本来、胃腸は自由に動くことができて、外から胃腸の蠕動運動を応援できる構造となっているのです。

お腹のマッサージと腹式呼吸

お腹の「の」の字のマッサージは、胃から小腸、大腸と食べ物の流れに従って、刺激を送ることができます。

また、ストレスなどで緊張したお腹を弛めるためには、腹式呼吸がお勧めです。腹筋と横隔膜を大きく動かすことで、腹部に余裕ができて、動きやすい胃腸にすることができます。

胃酸を抑えるだけではだめ

胃酸の分泌を抑える薬が開発されてから、胃潰瘍は劇的に減少しましたが、膨満感や食欲不振など胃腸の動きが低下する機能性胃腸症が増加しています。

胃酸を抑えるだけでなく、胃腸の運動を改善することが必要です。

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大腸気滞

大腸気滞とは、下腹部に気の充満あるいは渋滞が生じて、消化吸収や排便の機能が乱れている状態です。

主な症状・病気

大腸気滞の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・腹部膨満感
・腹痛
・腹鳴
・おなら
・排便困難
・裏急後重(渋り腹)

おすすめの改善方法

大腸気滞の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

食生活を乱さない

ストレスに負けないように、早めに気分転換を図り、暴飲暴食をしないようにしましょう。生活リズムを乱さないようにして、規則正しい食生活に努めましょう。

血便や激しい腹痛は注意

過敏性大腸炎は、ストレスや神経緊張などで誘発される腹痛や 下痢、便秘などの大腸の病気です。粘血便が出たり、排便後も激しい腹痛が続く場合は、炎症性腸疾患の可能性があります。

お腹をよく触ってみよう

自分のお腹をよく触ってみましょう。みぞおちから下、へそとの間に胃があります。その下のへその周辺に小腸があり、右下腹から大腸が始まります。

右脇腹を上へ昇り、右肋骨の下で左に曲がり、横に進みます。ここで胃と接近します。 さらに左肋骨まで進みそこで下に降りて行きます。そして、左下腹でS字にカーブして直腸に入り肛門です。

過敏性腸症候群では、自律神経の働きが乱れ、腸の働きが亢進や抑制されて、腹痛や下痢、便秘を起します。

仰向けになって、おなかの痛く硬いところや緊張しているところを探って、やさしくマッサージをしてみましょう。柔らかく緊張が解けるとおなかの痛みが緩和され、腸の動きが穏やかになり、排便もすっきりします。

使い捨てカイロなどでの温めや腹巻もお勧めです。

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肝気滞

肝気滞とは、自律神経から視床下部に気の充満あるいは渋滞が生じて、感情や精神機能が乱れている状態です。

主な症状・病気

肝気滞の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・神経質
・イライラ
・怒りっぽい
・手足の振るえ
・動悸
・動作不安定
・のぼせ
・頭汗
・充血した鋭い目つき
・胸や腹が張って苦しい
・体のあちらこちらが痛む
・不眠
・寝つき悪い

おすすめの改善方法

肝気滞の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

感情を安定させる

肝気滞では、自律神経の働きが乱れています。まずは、大脳と自律神経を仲良くさせることが大切です。

それには感情を安定させることです。人間として生きている上でのストレスや緊張、不安などでの感情の乱れは避ける事ができませんが、早めの気分転換で、悪い感情を引きずらないことです。笑うことは、悪い感情を断ち切るために良いことです。

音楽やお芝居など芸術や芸能に触れることもお勧めです。そして、腹式呼吸を実践することです。

更年期を上手に乗り越える

更年期には女性ホルモンが大きく入れ替わり、大脳の下にある脳下垂体がフル稼働します。それによって、他のホルモンのバランスを乱し、さらに脳下垂体上部の自律神経の中枢である視床下部も影響を受けて、自律神経も乱れます。

これらの乱れが、更年期特有の症状であるのぼせやホットフラッシュ、めまい、ふらつき、イライラ感、不安感などを起こします。

更年期によるホルモンの変動期間は、数年に及ぶことがありますが、自律神経の乱れは漢方と腹式呼吸が改善してくれます。

朝起床前と夜就寝前に毎日継続すれば、自律神経の働きが調和して、のぼせやイライラ不安感などが緩和されます。

更年期の動悸

更年期に発生する胸痛や動悸を微小血管狭心症と呼び、近年そのメカニズムが明らかになりました。心臓は生まれた時から二十四時間休むことなく、全身に血液を送るポンプとして働いています。

心臓を動かす原動力となっている心筋に、常に酸素と栄養のある血液が供給されなければなりません。この心筋に血液を送る太い血管を冠動脈と呼びます。微小血管狭心症では、冠動脈以外の細い血管が一時的に痙攣し狭くなり、心筋に血液が届かず一時的に虚血状態となり、胸痛や動悸を起すのです。

この攣縮は、血管保護作用のある女性ホルモン(エストロゲン)の低下と、自律神経の働きの乱れが発症に関与しています。特に安静時や就寝中の深夜から明け方に発生することが多いです。

更年期は体質改善のチャンス

更年期には、気滞だけでなく、血瘀や湿熱などが共存することがあります。

漢方では、気血水の三つをバランス良く整え、ホルモンの入れ替えをスムーズに行えるようにします。決して更年期は女性の敵ではありません。

更年期は体質を改善するチャンスでもあります。

更年期を通して、アレルギー体質から脱却したり、冷え症が治ったり、慢性的な頭痛や肩こりがなくなる方もいます。ネガティブに考えずに、これを機会に自分の身体を見つめ体質を理解して、元気で明るい更年期後の生活を目指しましょう。

産後は目を使い過ぎない

産前産後で女性ホルモンが劇的に変動します。その際、眼の奥にある脳下垂体が非常に忙しく働きます。更年期と同様に産後は、ホルモンと自律神経の働きが大きく揺さぶられて変動します。

産後は安静にして、眼をあまり使い過ぎないことは、脳下垂体と視床下部の働きを調和させるために不可欠です。また、授乳の刺激は、オキシトシン分泌を促し子宮を回復させて、さらに月経を抑制する作用で、出産で疲れた子宮と卵巣を休ませてくれます。

パニックは自己防衛本能から始まる

不安や焦燥感は、自分を守るために生じる自然現象です。人間も動物です。人間も古来より、野生動物のように外敵に襲われることを長い歴史の中で経験してきました。

予期的な不安や焦燥感は、外敵からいち早く自分を守るために、自分に知らせる信号です。こんな時に、動物は一目散に逃げるのですが、人間はそれができません。

しかし、脳では神経伝達物質が副腎ではホルモンが多量に分泌され、身体能力をフル稼働して逃走できるようにスタンバイしてしまうのです。これが、動悸や過呼吸、手足の振るえなどパニック症状を発する原因です。

まずは、自分が感じる不安や焦燥感を否定しないことです。それを否定して、嫌な気持ちになると脳や自律神経がさらに乱れて、悪循環に入ってしまいます。

ここでも腹式呼吸が有効です。

朝起床時と夜就寝前の腹式呼吸を習慣化しておけば、日中など予期不安が現れた時に、すぐに腹式呼吸ができるようになります。そんな時に深呼吸ができれば、不安の悪循環が必ず収まって行きます。

過食はこころの栄養不足

過食は、ストレスのはけ口として、経験したことがある方も多いと思います。

過食に対する問題は、食べることに罪悪感をもつことです。嫌な気持ちになると、食欲が抑えこまれて、満足感がなくなり、さらに食べるという悪循環に陥ります。

まずは食べ過ぎる自分を責めないでください。むしろ食べて、ストレス解消をすると考えて、食べ過ぎることを否定しないことです。食べることは、身体に栄養を与えると同時に、こころにも栄養を与えているのです。

美味しさがこころを満たす

こころの栄養を満たすために、本当に食べたいものを、きちんと厳選しましょう。そして、それをしっかりと味わうことです。栄養面はもちろんですが、見た目で選ぶことも大切です。なるべく値段の高いものを選ぶのもポイントです。

太るのを恐れ、カロリーや糖分を気にし過ぎ、食べたいという欲望を押さえ込むことは、過食時は良くありません。

とにかく、食べた時に、本当に美味しいと感じ、幸福感を得られるようなものを選ぶことが大切です。

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まとめ

気滞体質を臓器と結び付けることで、肺気滞(はいきたい)、胃気滞(いきたい)、大腸気滞(だいちょうきたい)、肝気滞(かんきたい)の4つに分けることができます。

体質改善を進める際の参考にしてみましょう。