耳鳴りの原因や対策、体質に合った漢方薬などを分かりやすく解説!

耳鳴りの訴え

このページでは、自分に合った耳鳴りの漢方薬を選びたいという方向けに、東洋医学の視点から耳鳴りの原因や対策、体質に合った漢方薬などを分かりやすく解説します。

(目次)
1 耳鳴りとは
2 耳鳴りはなぜ起こるのか
(1)鼓膜と耳小骨周辺の異常
(2)耳管周辺の異常
(3)蝸牛と聴神経周辺の異常
3 耳鳴りの種類
(1)ジージー蝉の鳴くような耳鳴り
(2)キーンという金属音の耳鳴り
(3)ボーと低い音の耳鳴り
4 医療機関に行くべきか
5 耳鳴りは漢方薬で治るのか
6 なぜ耳鳴りは漢方薬で治るのか
7 体質に合った耳鳴りの漢方薬
8 まとめ

耳鳴りとは

耳鳴りとは、自分の周りに聞こえる音源がないのに、雑音や異音などが聞こえる症状です。例えば、ジージーと蝉の鳴くような音、キーンというような金属音、ボーと低い音などがあります。

このような耳鳴りは、四六時中鳴っている人もいますが、何かに夢中で没頭している時は気にならない人もいます。

気になると不快感とともに、イライラ感や焦燥感など精神的な症状を引き起こすことがあります。

耳鳴りはなぜ起こるのか

耳鳴りが発生する原因を、3つの部位に分け説明します。

耳の構造

鼓膜と耳小骨周辺の異常

外耳道を通って入ってくる音(空気の振動)は鼓膜でキャッチされて、その振動を針のように細い耳小骨に伝えます。

その時、鼓膜と耳小骨周辺に過剰な湿り気や炎症があると振動の伝わり方が乱れます。その結果、耳鳴りや難聴などが発症することがあります。

外耳道炎がこれに相当します。

耳管周辺の異常

耳小骨がある空間は中耳といい、鼓膜と内耳で仕切られています。中耳内の圧力は、音を正確に伝えるために重要な役割があり、耳管によって外気圧と調整されています。

耳管は普段は閉じていて、口を開けて大きく顎を動かした時に開放されます。

飛行機内や潜水時に、大きく口を開けたり、鼻を摘んで鼻から息を出したりしたことでスッキリとした経験をした方も多いと思います。俗にいう耳が抜けたのです。これは、耳管が開き中耳に空気が通ったことにより、圧力が正常に戻ったからです。

①耳管の炎症や腫れが原因

ところが、鼻炎や扁桃炎、副鼻腔炎などが原因で、耳管に炎症が起こり、耳管の粘膜が腫れ空気の通りが悪くなるとこもったような音になります。その結果、耳鳴りや難聴を発症します。

このような状態を、耳管狭窄症と呼びます。

②耳管内の乾燥が原因

急激な体重減少や長期間炎症にさらされて耳管内の粘膜が乾燥し、枯れるように皺が寄り、 閉まりが悪くなることがあります。

こうなると、炎症が長期化して耳管が閉じなくなり、自分の声が異様に響いたり、呼吸音や脈打つ音を感じたりすることがあります。

このような状態を耳管開放症と呼びます。

蝸牛と聴神経周辺の異常

中耳の奥の内耳には蝸牛があり、耳小骨から伝わった音の振動を電気信号に変換しています。蝸牛はマイクと同様の機能を持ち、音から変換した電気信号を電線である聴神経に伝えます。

①蝸牛と聴神経の接合部の損傷

長年使用したマイクは電線との接合部が損傷を受けて、音が途切れたり雑音を生じたりするように、蝸牛と聴神経の接合部で炎症などによって損傷を受け、耳鳴りや難聴を引き起こします。

②リンパ液の貯留状態の異常

蝸牛の内部にはリンパ液が満たされており、ここで音の振動は活動電位となります。この蝸牛内のリンパ液の貯留状態も耳鳴りや難聴の発症に関与します。

さらに、耳鳴り発症の要因を左右するのが、血圧など血液循環の良否、耳下リンパ節や副鼻腔などの炎症の有無です。

なお、これらの要因が単独で耳鳴りを起こす場合もありますが、複雑に絡まりあって耳鳴りを発症していることもあります。

耳鳴りの種類

ジージー蝉の鳴くような耳鳴り

頭痛や肩こり、動悸、血圧変動、貧血などがあり、内耳への血液やリンパ液の循環が悪いことが原因です。長年このような耳鳴りが慢性的に続いている場合は、治療が困難な場合があります。それは、内耳蝸牛が萎み硬くなり、弾力性を失い、聴神経に常にノイズを発生させる状態になっている可能性があるからです。

高齢者に多いタイプの耳鳴りです。

キーンという金属音の耳鳴り

高音のキーンという耳鳴りは、鼓膜と耳小骨の潤いが不足して、乾燥しているために、音を過敏に拾い反響するような状態で発生します。大勢の人の中での声が聞こえ難く、さらに周囲の声や音が反響するので、非常に不快を感じ、精神的にも辛い耳鳴りです。

中耳炎や副鼻腔炎、扁桃炎など耳鼻のどの炎症を起こしやすい体質で、さらに更年期によるのぼせ(ホットフラッシュ)や、ストレスが多く心身の緊張が持続している場合に、発症することが多いです。

ボーと低い音の耳鳴り

低音のボーという耳鳴りは、鼓膜と耳小骨周辺が湿り、太鼓の皮が弛むように音が上手に響かないことと、耳管の炎症で中耳の内圧が上手に調整できないことが原因です。発熱があり、耳の周辺が痛いようでしたら、外耳道炎や中耳炎の疑いがあります。

風邪などで鼻閉時に、鼻を強くかむことや、航空機での気圧の変動にさらされて発症します。鼻と耳を繋ぐ耳管に炎症が拡がり、耳管の開閉調節が悪いのです。風邪や花粉症、アレルギー性鼻炎が引き金となり耳内に炎症が拡がったことが原因です。

まず風邪や鼻炎などをしっかり治すことが重要になります。

医療機関に行くべきか

耳鳴りが急に発症した場合は、まず耳鼻科を受診しましょう。

外耳道炎や中耳炎など急性の耳鳴りは早めの対処が必要です。めまいや吐き気、耳が聞こえ難くなってきたら、突発性難聴あるいはメニエール病の可能性があります。すぐに耳鼻科を受診してください。聴神経や平衡感を伝える前庭神経が炎症を起こしている可能性があるからです。

突発性難聴の場合は、聴神経が炎症を起こしており、炎症により神経細胞がダメージを受けて傷つきが深いと聴力や耳鳴りの回復が困難になります。

このような場合は、一刻も早くステロイド剤により炎症を鎮める必要があります。

補足説明
耳鼻科を受診して服薬などの治療を続けても改善しない場合は、漢方薬による治療をお勧めします。

耳鳴りは漢方薬で治るのか

耳鳴りにお悩みの方が漢方薬で良くなったという声は、当薬局(うち漢方)にも多数届いています。

ここでは、実際に漢方薬の服用で回復に向かった3つの事例をご紹介します。

それぞれご相談者のコメントを時系列に抜粋していますので、服用後の体調の変化などを確認ください。また、処方に関する解説をしましたので参考にしてください。

Aさん(男性 71歳)の例 

体質:気滞 陰虚 湿熱 血虚

〇ご相談内容の抜粋

(当初)耳鳴りがあり、自分の声が反響することがあります。現在服用中のお薬は、アデホスコーワ顆粒とメコバラミン、エクメットなどです。便通はやや緩い傾向があります。

(1週間後)耳鳴りの程度が少し小さくなってきた気がします。耳の中に納まっている感じです。耳垢が乾いていたのが、湿っぽくなってきた感じがします。夢の中でうなされ、非現実的な夢を見ていることが多く、ストレスの原因かなと思っています。

(2週間後)昨日の日中は、「何か耳鳴りがしているのかな」、という程度まで良くなりましたが、夕方から今もやはり耳鳴りしているなと感じます。耳鳴りの程度はだいぶ落ちてきました。毎日夜寝汗をかき、主に上半身ですが、ひどい時は夜3回位汗びっしょりになって目が覚めます。うなされている夢は、直近にはみていませんが、覚えていないのかもしれません。

(1か月後)耳鳴りは、左耳はしなくなった気がします。左耳の聞こえも良くなってきた気がします。右の耳はまだ耳鳴りが耳の中でします。また自分の声と他人の声が割れて聞こえます。肩こりはまだありますが大分少なくなりました。

夢は軽い夢になってきて、以前のように実際には無かったけど実際にあったような夢を見て、夢の中で焦るようなことはなくなってきました。

※上記は、個人の意見であり効果には個人差があります。

堀口 和彦
気滞の体質がメインであったAさんは、精神的なストレスから脳がオーバーヒートして、自律神経の働きを乱して、夜間の異常な発汗を起こしていました。

この発汗が続いたことで、体液を消耗して陰虚の体質の傾向が現れて、耳鳴りや自分の声の反響などの症状が起こりました。

まず、滋腎通耳湯で耳内を潤してさらに気を鎮めることで、耳鳴りの軽減が図れました。乾燥していた耳垢がしっとりしたことからも、陰虚体質を改善していることが分かります。

さらに、桂枝加竜骨牡蛎湯を追加して、滋腎通耳湯と併用したことで、心も潤すことができて精神的に安定して、夢が減り、夜間に夢で焦ることもなくなりました。

Bさん(女性 57歳)の例

体質:陰虚 血虚 陽虚 湿痰 血瘀 気滞

〇ご相談内容の抜粋

(当初)耳鳴りが酷いです。現在、漢方薬の耳鳴丸を服用していますが効きません。

(2週間後)まず眠りがだいぶ改善しました。耳鳴りも少し軽減し、ほっとしています。 今まで2時間ぐらいに起きていたせいか、あまり気がつかなかったのですが、夢をずっと見ています。それがあまりいい夢ではありません。

(1か月後)耳鳴りは、いったん良くなりましたが、また再発しています。また、唇が荒れてリップクリームを何度塗っても、ガサガサになってしまいます。

※上記は、個人の意見であり効果には個人差があります。

堀口 和彦
アレルギー体質であるBさんは、陰虚と血虚の体質で、鼻炎や皮膚炎など慢性的なアレルギー症状が長く続いている方に多くみられる体質です。陰虚と血虚のアレルギー体質の改善に、荊芥連翹湯を処方しました。

リンパ液と血液の循環を促進して、粘膜や皮膚を潤して、耳内や鼻内の炎症を鎮めることを目指しました。心の潤いも不足しており、夜間の頻尿や睡眠の浅さがあったので、柴胡加竜骨牡蛎湯を併用しました。

これらによって、耳鳴りや睡眠の質が改善しました。これでもまだアレルギー体質の改善には不十分で、辛夷清肺湯消風散の併用をお勧めしました。アレルギー体質の改善には、食事や生活環境などを見直すことも必要です。

時間を要する場合が多いですが、じっくりと体質改善を継続する必要があります。

Cさん(51歳 男性)の例

体質:血虚 気滞 陰虚

〇ご相談内容の抜粋

(当初)1か月前より突然キーンとする耳鳴りがしています。 耳鼻科に数件行きましたが、聴力は正常で問題ないと診断され、ストレスが関係あるのではないかと言われました。 耳の下の首の部分が詰まった感じがします。

今年に入り、私的環境が変わり、仕事以外にやらなければならないことが増え、2月~現在に至るまで、イライラする日が多く、4月頃に左耳下のあたりに違和感があり、その後耳鳴りがし始めました。耳鳴りに関しては、なるべく気にしないようにしています。

(1週間後)首の緊張感ですが、若干改善された感じがします。 耳鳴りの音ですが、キーンとシーの間ぐらいの音に変わりました。舌に歯のあとがつくのは何か関係あるのですか?

(1か月後)その日の体調によりますが、少し耳鳴りの音が小さくなったような気がします。

※上記は、個人の意見であり効果には個人差があります。

堀口 和彦
痩せていて血虚と陰虚の体質のCさんは、環境の変化によるストレスから気滞が加わり、耳鳴りを発症しました。

ストレスによるイライラ感を鎮めるために抑肝散を、潤いが不足した陰虚の体質を改善するために桂枝加竜骨牡蛎湯を処方しました。

舌の歯のあとに気滞の証拠が現れ、高湿度の気候で耳鳴りの状態が良くなっていることから、陰虚の体質であることを裏付けています。

なぜ耳鳴りは漢方薬で治るのか

ご案内した相談事例では、完全ではないにしても耳鳴りが良くなっていった様子がお分かりいただけたかと存じます。

では、なぜ耳鳴りが良くなっていったのでしょうか。

それは、次の3つに集約できます。

理由1:体質に合った漢方薬を服用したから

漢方薬を決める際は、西洋医学の薬のように「病名=薬」ではなく、「体質+症状=薬」と考えます。

東洋医学(漢方)では、耳鳴りの原因となっている体質を判定し、その体質の改善を優先しながら併せて耳鳴りを治療していくというスタンスを取ります。

だから、体質に合った漢方薬を服用することにより、耳鳴りを含めた根本的な解決につながっていくのです。

なお、うち漢方では、体質を次の8つに分類しています。

  1. 気滞(きたい):心と体を動かす気が充満し停滞している体質です。
  2. 気虚(ききょ):心と体を動かす気が不足した体質です。
  3. 血瘀(けつお):心と体の老廃物を運ぶ血の流れが悪く、全身または部分的に血が余剰して停滞している体質です。
  4. 血虚(けっきょ):心と体に酸素と栄養分を供給する血が不足した体質です。
  5. 湿痰(しったん):心と体を潤す水が過剰となり、湿や痰が停滞している体質です。
  6. 陰虚(いんきょ):心と体を潤しそれらの働きを円滑にする水が不足して、皮膚や筋肉、神経、内臓などの細胞の働きが低下した体質です。
  7. 湿熱(しつねつ):心と体を維持成長させる精が過剰にあり、湿と熱が停滞している体質です。
  8. 陽虚(ようきょ):心と体を維持成長させる原動力となる精が不足して、身体の動きや精神活動が低下した体質です。
体質4hart

体質とは?東洋医学による考え方と体質改善の方法を詳しく解説!

理由2 体質の変化に応じて漢方薬を変えたから

最初に決めた漢方薬が効いて体調が良くなってきたからと言って、ずっと同じものを服用してよいかというと、そうではありません。

服用中の体調の変化と定期的な体質判定の結果から、処方を常に検討していきます。体質に合った漢方薬を一定期間服用すると、心と体に変化が起こります。

また、季節の変化や住環境の変化などに体が反応すれば、体調や体質の変化に現れます。その変化に合わせて、漢方薬の処方を決めていきます。

体質の変化に応じて、その時々の体質に合った漢方薬を選んでほしいものです。

理由3 漢方薬を継続して服用したから

体質そのものを改善するという大掛かりのことをするには、ある程度の時間を要することになります。

よく言われるのが、その症状を患った期間と同じぐらいの漢方薬の服用期間が必要になります。風邪による急性期の耳鳴りは漢方薬でも早く治ります。長年続く耳鳴りの改善には時間を要します。

漢方薬は、無理やり心と体を快方へは向けません。心と体を良い状態に整備して、自分の力で快方へ進んでもらいます。自己治癒力を十分に発揮できるように環境を整備するのです。

しっかりと根本治療が進めば、耳鳴りにならない体質に改善することが期待できますので、途中でやめることなく、服用を継続してほしいものです。

※外部サイトも参考にしてください。

参考→漢方セラピー(クラシエ)の耳鳴り
・耳鳴りが起こる仕組みなどを解説しています。

参考→川崎医科大学総合医療センターの耳鳴り
・耳鳴り外来での診断や検査の方法などを解説しています。

参考→漢・方・優・美(クラシエ)のめまいと耳鳴りの漢方治療
・気血水の面からめまいと耳鳴りの原因について解説しています。

参考→薬日本堂の耳鳴り
・タイプ別チェックシートで、おススメの漢方薬も提示してくれます。

体質に合った耳鳴りの漢方薬

ここでは、耳鳴りに用いる漢方薬についてご案内いたします。

漢方薬ごとに、適した体質(◎ 〇)、お薬の特徴、処方した際の説明を掲載しましたので、選定の際の参考にしてください。

なお、漢方薬の解説については、拙著「体質で決まる漢方と養生」万来舎、「やさしい漢方入門」健友館 を参考にしています。

滋腎通耳湯
  • 適した体質:◎陰虚 ◎血虚 〇気滞
  • お薬の特徴:リンパ液と血液を補いながら循環を促進させ、心と体に潤いと栄養を供給します。潤すことで炎症を鎮めて、栄養を補給することで細胞や組織を修復していきます。
  • 処方の説明:耳周辺への血液やリンパ液の流れを促進して、耳内への酸素と栄養分を十分に送り込み、蝸牛や聴神経の働きを調整して、耳鳴りや難聴を改善します。
  • 滋腎通耳湯
柴胡加竜骨牡蛎湯
  • 適した体質:◎気滞 ◎陰虚
  • お薬の特徴:気の流れを良くして、緊張した心と体を解します。心を潤す作用もあり、脳のオーバーヒートを鎮め、心にゆとりを与えます。
  • 処方の説明:心身の緊張感を緩和して、神経の高ぶりを抑えて、耳鳴りやふらつきめまい、イライラ感、不安感を改善します。自律神経の働きを調整して、多少便通を改善する作用もあります。
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯
桂枝加竜骨牡蛎湯
  • 適した体質:◎陰虚
  • お薬の特徴:乾いた心を潤す作用があり、脳のオーバーヒートを鎮め、脳に休息を与えます。心にゆとりが生まれ、精神的に安定させます。
  • 処方の説明:心身の緊張感を緩和して、不安緊張感や睡眠の質、耳鳴りなどを改善します。神経の高ぶりを抑えて、耳鳴りを小さくする作用があります。
  • 桂枝加竜骨牡蛎湯
荊芥連翹湯
  • 適した体質:◎陰虚 〇血虚 〇血瘀 〇湿熱
  • お薬の特徴:リンパ液と血液の循環を促進させ、粘膜や皮膚に潤いを与えながら老廃物を回収します。潤すことで炎症を鎮めて、循環を良くすることで粘膜や皮膚を修復していきます。
  • 処方の説明:アレルギー体質に有効で、鼻炎や扁桃炎にもよく使います。耳や鼻のどなど潤し、炎症を鎮める作用があります。鼓膜から内耳のリンパ液の流通を調整して、炎症を鎮め、耳鳴りを緩和します。
  • 荊芥連翹湯
辛夷清肺湯
  • 適した体質:◎陰虚
  • お薬の特徴:リンパ液や体液を補い、乾燥した粘膜と皮膚を潤して、炎症を鎮めます。心を潤す作用もあり、気持ちを落ち着かせます。
  • 処方の説明:鼻やのど、耳下などのリンパの炎症を鎮めて、耳管の開閉をスムーズにして、内耳の湿度や圧力を調整して、耳鳴りを緩和します。
  • 辛夷清肺湯
香蘇散
  • 適した体質:◎気滞
  • お薬の特徴:気の流れを良くして、緊張した心と体を解します。リンパ液の流通を良くして、免疫力を高めます。
  • 処方の説明:のどから首、肩の緊張を緩和して、頚部から耳下のリンパ液の流れを促進して、鼓膜や耳小骨、蝸牛などの炎症や腫れを鎮めて、難聴や耳鳴りを緩和します。
  • 香蘇散
女神散
  • 適した体質:◎気滞 〇血瘀
  • お薬の特徴:気の流れを良くして、緊張した心と体を楽にします。血流を良くして、頭部に停滞した老廃物を回収して、気持ちをスッキリとさせます。
  • 処方の説明:ホルモンと自律神経の働きを調整して、精神的な安定感やのぼせ、耳鳴りなどを改善します。
  • 女神散
半夏白朮天麻湯
  • 適した体質:◎湿痰 〇気虚
  • お薬の特徴:停滞するリンパ液の流れを促進して、体内の水分バランスを良くします。胃腸での消化液分泌や水分吸収を調整し、弱った胃腸の働きを高めます。
  • 処方の説明:体内の水分を調整して、耳内のリンパ液の流れを促進して、前庭や三半規管、蝸牛などの働きを改善し、めまいや耳鳴り、吐き気などを緩和します。小便を出し易くする作用もあります。
  • 半夏白朮天麻湯

まとめ

耳鳴りの治療に用いる漢方薬を選ぶ際は、症状だけに着目するのではなく、必ず体質に合った漢方薬を選んでください。

体質は、服用によっても周りの環境によっても変化していきます。

ときには、体質の変化に合わせて漢方薬を変える必要があります。そして、継続して服用することをお勧めします。

そうすれば、耳鳴りの症状を緩和するだけでなく、耳鳴りになりにくい健康体質へと改善していくことでしょう。

どうぞお大事になさってください。