湿痰とは?タプタプさん体質の改善方法

湿痰(タプタプさん)

湿痰とは、こころとからだを潤す水が過剰となり、湿や痰が停滞している状態です。

この体質の方を一言でいうと、「タプタプさん」です。

湿とは、体液やリンパ液、消化液などの液体成分である水が停滞したものです。痰は、消化器や呼吸器に停滞した湿です。これら湿と痰が体内に停滞した状態が湿痰です。

湿が内耳に停滞すると、平衡感覚を阻害します。また、関節や筋肉に湿が停滞すると、運動障害を起こします。

参考→体質とは?|湿痰体質の説明と改善方法

このページでは、湿痰体質をさらに弱っている臓器によって細分化し、それらの改善方法についてもやさしく説明します。

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(目次)

1 肺湿痰(はいしったん)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
2 三焦(内耳)湿痰(さんしょう(ないじ)しったん)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
3 脾胃湿痰(ひいしったん)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
4 脾(筋肉)三焦(関節)湿痰(ひ(きんにく)さんしょう(かんせつ)しったん)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
5 まとめ

肺湿痰(はいしったん)

肺湿痰とは、胸部の肺や気管に湿と痰が充満して、リンパ液の流通を阻害して、免疫機能や呼吸機能が乱れている状態です。

主な症状

肺湿痰の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・水っぽい鼻水
・咳
・痰
・悪寒
・冷え
・手足のだるさ
・むくみやすい
・息苦しい
・呼吸困難
・喘鳴

改善方法

肺湿痰の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

風邪初期は保温とわずかな発汗

風邪を早く治すためには、保温して少し汗をかくことが大切です。鼻のどや気管、肺などに停滞したリンパ液を発散して、湿と痰を去り免疫の働きを活性化します。

衣服やふとんで身体を温かくして、入浴で身体を温めることはいけません。だらだらと流れるほどの汗をかいてはいけません。自分の力で身体を温めることがポイントです。

その働きを助けるために、くず湯やしょうが湯、野菜スープなどはお勧めです。

発汗し出したら、スポーツドリンクなどで水分を補給しながら、適度に汗をかき免疫機能の活性化を維持しながら、風邪の細菌やウイルスを完全に退治しましょう。

身体は休めて気は抜かない

仕事などの忙しさから開放されて、ふっと気を抜いた時に風邪を悪化させた経験があると思います。また、少し風邪気味だなと感じていても、どうしても抜けられない仕事や試験などがあると、なんとか持ち堪えて寝込まずに済んだ経験もあると思います。

仕事やスポーツなどに集中している時には交感神経は優位に、寝ている時やリラックスした時には副交感神経が優位に働きます。

自分の力で体温を保持して、汗をかくことは交感神経が優位に働き、自己防衛の態勢を整えることができるのです。

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三焦(内耳)湿痰(さんしょう(ないじ)しったん)

三焦(内耳)湿痰とは、耳内に湿が充満してリンパ液の流通を阻害して、平衡感覚や聴覚が乱れている状態です。

主な症状

三焦(内耳)湿痰の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・めまい
・頭重
・体が重い
・耳鳴り
・耳閉感
・難聴

改善方法

三焦(内耳)湿痰の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

めまいと嘔吐さらに難聴はすぐ受診

メニエール病では、突然の激しいめまいで、起き上がることができず、横になっていても、グルグルと天井が回り、気持ち悪く吐き気をともないます。

さらに耳鳴りやトンネル内にいるように耳が塞がる感じがして、耳が聞こえづらくなったら、すぐ受診してください。

内耳には、平衡を感知する三半規管と前庭、さらに音を感知する蝸牛が並存しています。これらの器官は、リンパ液が満たされており、適度な圧力で貯留するように調整され、ゆっくりとリンパ液が流通しています。

ところが、首筋や肩こり、過労により内耳リンパ液の流通が阻害されたり、風邪や花粉症などにより鼻のどの炎症が内耳へ波及すると、三半規管や前庭にリンパ液が停滞して膨張します。

このような内リンパ水腫の状態は、三半規管や前庭での加速や重力を感じるセンサー機能を乱し、めまいを起こさせるのです。さらに、湿の停滞が長期化し耳周辺での炎症が悪化すると、リンパ液は消耗して湿痰から陰虚の傾向へ進行します。

陰虚となると聴神経にまで炎症が拡がり、神経線維に修復されない程の傷害ダメージを負わせてしまうと、めまいや耳鳴り、難聴が治りづらくなり慢性化します。

足を温めてツボ刺激

めまいが激しく吐き気がある時は、無理に水分や食べ物を取らず、まず足を温めて安静にしてください。冷えのぼせ状態はめまいを悪化させます。

そこで、足の裏にあるツボ裏内庭の指圧やお灸がお勧めです。この付近にあるクリクリとした圧痛点を狙って、痛みが取れるまで解すか、熱さを感じるまでお灸をしてください。

悪心や嘔吐を緩和し、めまいと不安感を鎮めます。これをしばらく繰り返すと必ず吐き気は治まります。

飲食ができそうな状態になったら、重湯や三分粥から始めましょう。

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脾胃湿痰(ひいしったん)

脾胃湿痰とは、食道から胃と小腸に湿と痰が充満して、リンパ液の流通を阻害して、消化と循環機能が乱れている状態です。

主な症状

脾胃湿痰の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・胃酸過多
・胸やけ
・悪心嘔吐
・動悸
・息切れ
・倦怠感
・腹がよく鳴る
・胃部振水音
・腹部膨満感
・冷えるが発汗しやすい
・尿量多い
・低気圧や湿気に弱い
・むくみ

改善方法

脾胃湿痰の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

脾胃湿痰では、寒冷や多湿など外部環境の変化や運動不足、過剰な水分摂取により、新陳代謝が低下し、胃腸での消化吸収が停滞します。胃に食べ物や消化液が停留して、胃もたれや胃酸過多、悪心嘔吐、腹部膨満感を起こします。

胃腸の働きが元来弱く胃下垂気味な脾気虚の方は、脾胃湿痰になりやすいです。

お腹のマッサージと腹式呼吸

お腹の「の」の字のマッサージと腹式呼吸は、胃から小腸、大腸へと停滞する胃の未消化物や消化液を送り込み、胃腸の消化吸収を促進させます。

さらに、腸管リンパの流れを促進して、お腹の張りや膨満感、むくみを緩和します。

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脾(筋肉)三焦(関節)湿痰(ひ(きんにく)さんしょう(かんせつ)しったん)

脾(筋肉)三焦(関節)湿痰とは、筋肉や関節に湿と痰が充満して、リンパ液や関節液の流通を阻害して運動機能が乱れている状態です。

主な症状

脾(筋肉)三焦(関節)湿痰の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・腰痛
・膝痛
・筋肉痛
・関節痛
・関節炎
・関節浮腫
・しびれ
・疼痛
・神経痛
・冷え
・頻尿
・関節運動障害

改善方法

脾(筋肉)三焦(関節)湿痰の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

同じ姿勢での作業や冷え湿気など天気の変化で、新陳代謝が低下して、筋肉に湿が停滞した腰痛は、筋疲労性腰痛といわれ、腰背部が凝り硬くなり重だるい鈍痛を発します。

筋疲労性腰痛は、筋肉はまだ傷ついていないので、痛みも軽く治りやすい状態です。しかし、筋肉疲労の原因となる過度の腰への負担や悪い姿勢を改善しなければ、また再発します。

日頃のストレッチや体操が効果的

背筋や腹筋などを多少強化する必要もあります。

・筋肉を傷めた腰痛

筋肉疲労の状態で、重い物を持ったり腰を捻ったりして、筋肉を傷めてしまうのが、筋・筋膜性腰痛です。この状態では、腰を支える筋肉が損傷を受けているので、筋線維を再生修復する必要があります。

痛みが強い場合は、横になり安静にして腰の筋肉を十分に休めてください。腰には湿布をし、足は温めてください。

・結合組織を傷めた腰痛

腰椎を繋ぎ留めている硬い結合組織である靭帯を傷めてしまうのが、椎間関節性腰痛、いわゆるぎっくり腰です。

激しい痛みで起きることも歩くことも出来ない場合は、無理に動かず3日間は腰に力を入れないように安静にしてくだい。くしゃみや咳などにも注意してください。

・坐骨神経痛

坐骨神経痛は、太ももの外側や脛に突っ張るような嫌な痛みを感じ、温めると痛みが緩和されます。また、仰向けに寝て足をまっすぐに伸ばすと痛みが憎悪します。

その他、下肢に広がる神経には、大腿神経、外側大腿皮神経、閉鎖神経があり、太ももの前面や内側に痛みが発する場合もあります。腰椎がすべったり、椎間板がはみ出すヘルニア、さらに腰椎付近や臀部の筋肉や血管がこれらの神経に接触して、神経に沿って痛みが発生するのです。

痛みが激しい時は、坐骨神経を弛ませるように膝を曲げ横向きになり身体を丸くして、3日間は安静にしてください。鍼灸治療がお勧めです。

・五十肩

肩に軽い引っ掛かりや少し痛みを感じたら、入浴後の体が温まった時に、軽いダンベルを持ち振り子のように腕と肩をゆっくり大きく動かしましょう。力は入れずに惰性で動くようにぶらぶらと往復運動させてください。

この動きが関節液の流通を促進させて、関節に潤滑油を利かせます。肩がスムーズに動くまで毎日続けましょう。動作時に激しい痛みや夜間の自発痛がある時は安静にしてください。

・バネ指腱鞘炎

腱鞘炎は指を動かすワイヤーである腱とそれをガードするワイヤーカバーに相当する腱鞘の間に、老廃物が沈着して、錆び付くようになり、指を動かしづらくなったり、腫れ痛みが出たりします。

これらのワイヤー周辺の錆びを落とし、老廃物を掃除することが、腱鞘炎の治療に大切です。お灸は錆び落としの作業を助けてくれます。それぞれ指の付根の圧痛点にお灸を施し、痛みが取れるまで毎日根気よくお灸を続けてください。

また、腱鞘炎はホルモンの影響が受け、産後や更年期など女性ホルモンが大きく変動する時に、発症する方も多いです。この場合は、血虚や血瘀の体質も関与します。

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まとめ

気滞体質を臓器と結び付けることで、肺湿痰(はいしったん)、三焦(内耳)湿痰(さんしょう(ないじ)しったん)、脾胃湿痰(ひいしったん)、脾(筋肉)三焦(関節)湿痰(ひ(きんにく)さんしょう(かんせつ)しったん)の4つに分けることができます。

体質改善を進める際の参考にしてみましょう。