陽虚とは?ガクガクさん体質の改善方法

陽虚(ガクガクさん)

陽虚体質とは、こころとからだを維持成長させる原動力となる精が不足して、身体の動きや精神活動が低下した状態です。

この体質の方を一言でいうと、「ガクガクさん」です。

身体および精神を成長させ、さらに生命活動を維持させるためのホルモンの働きである精が不足しています。ホルモンバランスの乱れではなく、分泌腺そのものの働きが低下し、ホルモンの分泌量が減少する状態が陽虚です。

新陳代謝が低下し、体の芯まで全身の冷えがあり、生命機能も低下します。未熟児で生まれた方や生まれつき虚弱な方、要介護状態の高齢者に多いです。日ごろ元気な人でも、無理を重ねた場合や、心身への極度なストレスやショックを受けた場合も、陽虚になることがあります。

小人症や甲状腺機能低下症など病的なものもありますが、閉経や前立腺肥大など加齢による要因もあります。

参考→体質とは?|陽虚体質の説明と改善方法

このページでは、湿熱体質をさらに弱っている臓器によって細分化し、それらの改善方法についてもやさしく説明します。

体質の判定

私たちが運営しているうち漢方体質判定システムをご利用ください。当てはまる項目をチェックするだけで体質判定ができますので、ぜひやってみてください。

体質判定をする

(目次)

1 腎陽虚(じんようきょ)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
2 脾陽虚(ひようきょ)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
3 心陽虚(しんようきょ)
・主な症状・病気
・おすすめの改善方法
4 まとめ

腎陽虚(じんようきょ)

腎陽虚とは、脳下垂体や副腎、卵巣、精巣からのホルモン分泌が少なく、成長や新陳代謝、生殖機能が低下している状態です

主な症状

腎陽虚の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・成長や皮膚等再生が遅い
・骨が脆い
・骨の変形
・生殖機能弱い
・難聴
・膝や腰の脱力
・身体の芯まで冷える
・排尿異常
・夜間多尿
・体力低下
・動きが遅い
・歩行困難

改善方法

腎陽虚の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

妊娠に向けて体力と気力を養う

新しい生命を生む生殖能力は、呼吸や消化、循環などすべての生命機能が調って初めて発揮されます。

男性では精子の数と鞭毛による泳動能力、さらに陰茎の勃起力が必要です。糖尿病や腹部の手術後は、下腹部から陰部への血流阻害や、陰茎への神経伝達の悪化などが起こり、勃起不全を起こすことがあります。

不安緊張感や焦燥感が勃起を阻害することもありますが、これは精神的な要因で漢方では陰虚体質と捉え改善が可能です。

女性では、生理の異常があれば早めに対処して、月経周期や月経前後の体調不良を改善することが不可欠です。また、胎児を元気に育て、10ヶ月の妊娠期間を無事に過ごすための、体力と気力を妊娠前に養っておくことも大切です。

腰痛や肩こり、眼精疲労、冷え、さらにアレルギー体質なども生殖力を低下させる原因となりますので改善しましょう。

腰曲がりは働き者

骨粗鬆症による圧迫骨折の激しい痛みは2~3週間で必ず取れます。まずは、痛みが鎮まるまでは安静にしてください。一時的に認知機能が低下する場合がありますが、痛みの緩和とともに必ず回復します。

痛みが減ってきたら、徐々に歩行などリハビリを開始しましょう。腰を伸ばすと痛い時は、腰を曲げた状態で歩きましょう。リハビリによって背骨を支えている筋肉が柔らかく解れてくれば、背筋が伸びてきます。

圧迫骨折を起こし腰が曲がっている方は、チョコチョコとまめに動く働き者です。激しい痛みが治まった後も、働き過ぎには注意してください。腰に負担をかけ過ぎると、また圧迫骨折を引き起こし、さらに腰曲がりを進行させます。

散歩や買い物など外出時は、押し車を利用しましょう。押し車によって上半身の重さが腕で支えられ、腰への負担が大幅に軽減されます。

骨粗鬆症を予防する食べ物

骨粗鬆症には女性ホルモンの分泌低下が深く関与しますが、食事も大切です。カルシウムを多く含む食事を摂り、適度な運動を心掛けましょう。おススメの食材を次に載せておきます。

○海草類
・焼きのり
・ひじき
・わかめ
・こんぶ

○魚介類
・煮干し
・干しエビ
・ししゃも

○野菜類
・こまつな
・しそ

○豆類
・大豆
・枝豆

○乳類
・牛乳
・ヨーグルト

○その他
・抹茶
・きな粉
・ごま

脊柱管狭窄症の歩行力維持と改善

脊柱管の狭窄がある場合に長く歩けないことは、筋力や持久力の低下が原因ではありません。脳からの指令を伝える神経が圧迫されているからです。

歩けなくなることを心配して、つらいのに散歩やウォーキングを頑張って続ける方がいますが、無理な歩行は背骨に負荷がかかり脊柱管をさらに狭める可能性があります。

そこでまず日常の座り方や動く姿勢、歩き方を見直してください。首筋から腰までの背骨に負担が少なく、背骨一個一個の関節に余裕のある体勢を意識してください。

そのために無理のない臥位でのストレッチや、座位での筋トレを日課にしてください。その上で、足のつっぱり感や痛みが出ない程度の歩行を心掛けてください。つらくなったらすぐに座って休み、無理に歩かないでください。

押し車での歩行は体重が上肢へ分散され、背骨への負担を減らし脊柱管の圧迫を軽減できます。脊柱管内での神経の圧迫が長期にわたると、神経細胞へ栄養が行き渡らなくなり、神経障害を起こします。まず感覚神経がダメージを受けて、痺れや知覚異常などを起こします。

さらに運動神経がダメージを受けると下肢が麻痺して歩けなくなります。手術を回避するためにも、重い荷物を持つことや、無理な歩行はしないでください。

腎陽虚の方に有効な漢方薬をご案内します。

腎陽虚の漢方薬をお探しなら→腎陽虚の漢方薬

脾陽虚(ひようきょ)

脾陽虚とは、膵臓や消化管から分泌されるホルモンが減少し、胃腸での消化吸収力が低下している状態です。

主な症状

脾陽虚の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・未消化の下痢
・水様便
・腹が冷えて痛む
・四肢の冷え
・気力体力の低下

改善方法

脾陽虚の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

消化の良い温かい物で胃腸と身体を温める

おかゆや野菜スープなどを食べて、お腹から全身を温めるようにしましょう。消化酵素やホルモンの働きは、36~38℃で一番活性化します。

また、一度に多く食べずに、1回の食事量を減らして1日の食事回数を増やすようにしてください。

胃腸の働きを応援する

陽虚の方は、体温が低い傾向にありますので、お腹と背中にカイロなどを貼り胃腸を温めることもお勧めです。皮膚感覚が鈍っている場合がありますので、低温火傷には十分注意してください。

さらに、お腹の「の」の字のマッサージをしましょう。胃から小腸、大腸をやさしくマッサージして、温めるようにやさしく刺激してください。

手術や抗ガン剤による治療の後は、どうしても体力と気力が低下します。手術後は、一日も早く体力を回復し、再発や転移を抑えるように免疫力を高めることが大切です。

たとえ小さなガンがあったとしても、自分の力で十分に退治できると自信を持ってください。弱気になったらだめです。

また、抗がん剤による副作用の軽減にも漢方薬は役立ちます。

脾陽虚の漢方薬をお探しなら→脾陽虚の漢方薬

心陽虚(しんようきょ)

心陽虚とは、副腎や甲状腺から分泌されるホルモンが減少し、心臓の循環機能が低下している状態です。

主な症状

心陽虚の方が感じる主な症状は、次のとおりです。

・動悸
・息切れ
・胸内苦悶
・狭心痛
・冷汗
・顔色蒼白
・四肢の冷え
・チアノーゼ
・むくみ

改善方法

心陽虚の方に有効な養生方法は、次のとおりです。

無駄な心拍数の増加を減らす

哺乳類の寿命と総心拍数に関連性があり、1分間心拍数はネズミでは700回、ゾウでは40回といわれています。寿命はネズミが3~4年で、ゾウが50~70年です。哺乳類の動物では、一生涯での総心拍数は15~20億回という試算があり、これに当てはめると人間の寿命は50年ぐらいになります。

このことから無駄な心拍数の上昇は寿命を縮める要因となります。怒りや不安、恐怖などの情動による心拍数の上昇は減らしましょう。

長期にわたる精神不安な状態は、自律神経やホルモンの働きを乱し、動悸や不整脈を助長します。

小便回数が昼間は少なく夜間に多くなるのも特徴です。

心臓が衰えた慢性心不全は、心気虚から徐々に進行して心陽虚となります。息切れや急激な血圧低下、立ちくらみ、夜間排尿、下肢のむくみなどの症状が悪化していきます。

むくみは足甲から脛に表れ、押すと凹みすぐには戻りません。排尿は日中には少なく、夜間就寝すると増え、一晩に3~4回もトイレに起きるようになります。身体を横にすると、全身への血液循環が容易になり、下肢に停滞していた静脈血とリンパ液が流れ出し、腎臓への血流量が増加します。その結果、尿量が増えるのです。

だるさが心陽虚の一番の兆候ですが、高齢者の場合は慢性的にだるさがありますので、むくみと夜間排尿回数で心臓の病気を見落とさないようにしましょう。

腹式呼吸と適度な軽い運動

これらの進行を防止するためには、腹式呼吸と適度な運動がお勧めです。

腹式呼吸は、朝起床前と夜就寝前に続けることで、自律神経の働きを調整して心臓の働きを応援します。気力を高めて感情的に安定させる作用もあります。

座位や臥位による軽度な運動は、心拍数を上げ過ぎず心臓への負担が少ないです。筋肉の伸縮と関節の屈伸運動により、血管とリンパ節を刺激して、血液とリンパ液の流れを促進させます。

これらを継続することで、血圧の変動や息切れ、動悸、むくみなどは緩和されます。

甲状腺による全身症状を漢方で改善する

甲状腺機能低下症は、新陳代謝が低下することから、全身のむくみや冷え、徐脈、生理不順、肌荒れ、無気力などが起こります。

慢性甲状腺炎である橋本病でも甲状腺ホルモンの低下が起こる場合もあります。甲状腺ホルモン剤を長期に服用している方でも、漢方薬を併用しながら体質を改善していくことができます。

心陽虚の漢方薬をお探しなら→心陽虚の漢方薬

まとめ

陽虚体質を臓器と結び付けることで、腎陽虚(じんようきょ)、脾陽虚(ひようきょ)、心陽虚(しんようきょ)の3つに分けることができます。

体質改善を進める際の参考にしてみましょう。